岐阜県海津市光のハコ・風のハコ

「僕は花咲か爺さんになりたい」。そう大らかに笑う建築家が手がけた家。もうそれだけで、期待は最高潮です。
今回お邪魔したのは、岐阜県海津市の、お千代保稲荷さんすぐそばに完成した「光のハコ・風のハコ」。設計は、道家秀男建築設計事務所の道家秀男さん。施工は足立住建さんです。
さてさて、一体どんなお宅になっているのか。終わりのない物語の始まり始まり・・・。

暦の上では春を迎えたとはいえ、まだまだ冷え込む2月の半ば。白い息で手を暖めながら、会場に到着です。
太陽光発電でエネルギーを創る「ゼロスタイルの家」にふさわしく、この日の空はよく晴れていました。

シンプルな片流れの屋根に、自然素材が際立つ外観。庭のツリーは、最初は二本だけの予定だったそう。お施主様との相談の結果、こんなに緑がすがすがしい出で立ちに。


快晴の青い空に、ソーラーパネルがよく映えます。

「光のハコ・風のハコ」にこれから暮らすのは、ご主人、奥様、息子さん、3人構成のご家族。同じ敷地内には、ご主人の父母様と姉夫婦様の暮らすお家があるそうです。そのため、オープンな交流がしやすいように様々な工夫がこらしてあるのが特徴です。「家族はコミュニティの最小単位」というのが、道家さんの考え方。では、さっそく中へ入っていきましょう。


アプローチから玄関へ。
内部まで繋がるタイルは、おなじみベイスさんです。

玄関扉の脇には、
便利な腰掛けが。

右を向けば、
こんな可愛らしい抜け道が。

国産杉で出来たウッドデッキ。
ひなたぼっこが気持ち良さそう!

庇も実にいい仕事です。





ドアを開けると、
通り土間が全ての空間をつなぎます。
右奥の扉からは、家屋裏手に出る事が出来ます。



裏手には駐車スペースを隔て、
ご主人ご家族の家が並びます。



そこには当然、
エネファームも。



デッキと風が通じる
窓からも、
中の気配を伺えます。


連なった住空間にあって唯一、独立した
スペースなのがこの和室。一息つきたい
時や、お客様が見えた時などにも
活躍しそうです。

「敷地と家族構成から、まず最初に浮かんだアイデア。それが通り土間を採り入れること」。そう道家さんは言います。
どこからも出入り可能な一つの空間に、「繋がり」がもたらす豊かさを再確認させられます。「打ち合わせから竣工まで、進行はとてもスムーズだった」そう。ただ一つ、最初のプラン提案から大きな変更点があったといいます。それは「最初は平屋の構想だったのが、『階段が欲しい』というお施主様の意向を汲んで二階に子供部屋を作ったこと」とのことです。


とても明るく、優しい雰囲気のリビング。
デッキ側の大きな窓からは、風と光がふんだ
んに入り込みます。カバザクラが敷かれた床
には、もちろん床暖房が設置されています。

カーテンはグランデコールさんです。




エアコンの設置スペースも、
一工夫でこんなにすっきり!



吹抜けとなっており、
二階との関係もこんなに開放的。

対面式キッチンの奥には、
土間とつながる勝手口が。

タイルもおしゃれです。

こちらは、寝室スペース。

脱衣所、浴室、トイレの水回りスペースです。

2階にあがると、東京から駆けつけてくれたENEOSの社員さんがダブル発電について説明中でした。
子供がぐっすり眠れるのは、快適さの証です?

階段横は勉強スペースとなっています。

一階の様子もよくわります。
たっぷり降り注ぐ光と、風通しの良さが魅力的。
光のハコ・風のハコたる所以です。

三枚の引込戸を開閉することで、連続しつつも全く別の空間に早変わり。

午後に入ってからは、お客様もたくさんいらっしゃいました。どの方も「素敵!」と口を揃えて喜んでおられたのが印象的です。ダブル発電にも興味津々で、説明を熱心に聞いておられました。道家さんをはじめ、事務所スタッフの山田さん、伊藤さんもフランクなお人柄で、会場はとても和気あいあいとした雰囲気でした。


来客のピークも落ち着いた頃、ソファにゆったり腰掛けた道家さん。リラックスした雰囲気で、こんなことを語ってくださいました。

僕が好きな小話に「釣り落とした魚の寸法」というものがあります。魚を釣り落とした者が『今のは大きかった、三尺もあった!』と言うのに対し、傍で見ていた者が『いやいや、今のは一尺もなかった』と言う内容です。両者の違い、それは計りようがないものへの、主観と客観の差なんですね。つまり、釣った者にとっての「感動」こそがその尺度になるのです。家も同じで、その良さは数字だけではわかりません。僕が目指すのは、住まう家族が「詳しいことは分からないけど素晴らしい!」と感動してもらえる家。その点で、僕は『花咲か爺さん』になりたいなぁと、そんな風に思うわけです(笑)。 そして、いつも忘れないのが「思いやり」。自分が一番大切な相手に捧げるつもりで臨めば、自然とベストな答えが出てきます。「楽しく暮らせる空間」を、これからも自分らしいセンスで創っていけたらと思います。同じように、この家にこれから暮らすご家族も、「その家族らしく」伸びやかに暮らしてもらえれば何よりですね。

「書を捨てよ、町へ出よう」とは寺山修司、「右手にロマン、左手にハート」とは道家さんの名言です。 「感動する心」に無限大の可能性を信じ、大いに笑い、語る。固定観念に囚われない。人間を愛し、仕事を愛する。・・・「光のハコ・風のハコ」は、そんな道家さんそのものが、家になったような気がします。
「夢のマイホーム」という言葉がありますが、「夢」は物差しでは計れないもの。だからこそ、信頼できる建築家に一度相談してみるのも良いのでは?きっと、素晴らしい出会いがある・・・かもしれません。